『い』

今日のあかさたな。

今夜は『い』。

『い』から始まる「言葉」はたくさん好きなものがある。

いとなみ、

いごこち、

いつくしむ、

いとしい、

いきる、

いのち。

私の好きな「言葉」達の中枢を担うものばかりだったので

どうしても、

どうしても

ひとつに決められなかった。

強いて言うならば、『いきる』かもしれないな･･･

谷川俊太郎先生の『生きる』が大好きだから。

この詩に出会った時から、

これまで日常を送る中でなんどこの『生きる』のフレーズが心の中で流れたことか。。

美しい詩に出会った時、私はいつも「生まれてきて良かった」と思える。

生きる

　谷川　俊太郎 　　　　　　　　

生きているということ

今生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみをすること
あなたと手をつなぐこと

生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと

生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ

生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎていくこと

生きているということ
いま生きているということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ

美しい詩とともに

今日を終えます

〆